認知症とは

「認知症」とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来たした状態をいいます。記憶障害などの軽度の認知機能の障害は認められるが、日常生活にあまり支障がない場合は認知症の前段階である「軽度認知障害」(MCI)の状態となります。また、65歳未満で発症する認知症は、「若年性認知症」と呼ばれます。

認知症の種類についてはこちら

加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い

加齢による物忘れ認知症による物忘れ
体験した一部を忘れる
(朝ごはんは食べたがメニューを忘れる)
物忘れの自覚がある
症状は徐々にしか進行しない
体験した全部を忘れる。
(朝ごはんを食べたことを忘れる)   
物忘れの自覚がない
症状は進行する

また、認知症とよく似た状態(うつ、せん妄)や、認知症の状態を引き起こす体の病気も様々あるため(甲状腺機能低下症など)、早期に適切な診断を受けることが大切です。

※政府広報オンライン「知ってこきたい認知症の基本」より


こんな症状はありませんか?(中核症状と周辺症状)

中核症状とは

脳の働きが低下することによって直接的に起こる症状

  • 記憶障害・・・物忘れ、何度も同じことを言う、財布、通帳がなくなる
  • 見当識障害・・・今日がいつなのかわからない、ここがどこなのかわからない
  • 理解・判断力の低下・・・理解することに時間がかかる、一度に2つのことができない(計算や料理、運転ができなくなるなど)
  • 実行機能障害・・・物事を行う時に計画を立て、順序立てて行うことができない
  • 言語障害(失語)・・・言葉が理解できず、自分の思っている事を言葉で表現できない
  • 失認・・・目の前の物や状況を理解するのが難しくなる状態(赤いボールをリンゴと間違える)
  • 失行・・・ご飯を食べる、お茶を入れる等、日常的な動作がうまくできない(Tシャツを履いてしまう)

周辺症状とは

中核症状や環境・身体・心理的要因によって引き起こされる症状

  • 認知機能の低下による不安、抑うつ、意欲の減退
  • 物忘れによる、財布や通帳を盗まれたという物盗られ妄想
  • 脳の情報伝達障害による幻覚(幻聴、幻視、幻臭、体感幻覚等)
  • 不安感や緊張感による多動、徘徊、帰宅願望
  • 感情のコントロールができなくなる暴言、暴力
  • 排泄の失敗等を隠す不潔行為
  • 介護を受ける意味がわからず抵抗する
  • 体内時計の調整がうまくいかない睡眠障害
  • 失認による異食行動

上記のような中核症状、周辺症状がある方は、一度受診してみてください。


当院での検査・治療について

当院の初診では、まず相談員が約1時間かけて、これまでの生活歴や現在のご様子について丁寧にお話をうかがいます。心配なことや困っていることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。その際に、簡易的な認知症検査(長谷川式認知症スケール)も実施いたします。

その後、医師の診察を30分ほど行いますので、待ち時間を含め全体でおよそ2時間程度かかります。また、必要に応じて、頭部MRIによるVSRAD(アルツハイマー型認知症の進行度合いを調べる検査)などの専門的な検査を、他の医療機関で受けていただく場合もあります。認知症が進行する過程では、苛立ちや幻覚、妄想などの症状が現れることがあります。これらの症状には、認知症の進行を緩やかにするお薬を処方したり、漢方薬や少量の抗うつ薬・抗精神病薬などを用いることで、改善が期待できる場合もあります。また、薬だけでなく、生活環境を整えることもとても大切です。ご本人やご家族が安心して介護サービスを利用できるよう、介護認定の申請に必要な「主治医意見書」の作成も行っております。

介護認定を受けると、ケアマネージャーが担当としてつき、ご本人に最適な介護サービスを一緒に考えてくれます。介護サービスは、認知症のご本人のためだけでなく、日々介護を担っておられるご家族の支援にもつながります。たとえば、日中にデイサービスを利用することで、ご家族はこれまで手が回らなかった自分の時間や家のことに取り組む余裕が生まれます。介護サービスはご本人を支えると同時に、ご家族の負担を軽減し、生活の質を高めるための大切なサポートでもあるのです。是非一度ご相談ください。


介護保険はどうやって申請するの?

介護保険のサービスを利用するまでの手順(高槻市のホームページをご覧ください)


各種制度について

自立支援医療(精神通院医療)

精神疾患のために精神科等に通院している方の医療費の一部自己負担額を軽減する制度です。通院で必要とした医療費の自己負担割合を、原則1割にすることができます(加入する健康保険の種類によって、一部自己負担額が発生しないこともあります)。対象疾患に認知症も含まれます。

精神障害者保険福祉手帳

精神障がいのために長期にわたり日常生活または社会生活への制約がある方の社会復帰・社会参加を促進することを目的とし、交付されます。精神障がい者保健福祉手帳には、障害の程度により1級から3級の区分があり、有効期限は2年間です。引き続き手帳の所持を希望する場合、2年毎に更新手続きが必要です。

成年後見制度

成年後見制度とは認知症や知的障がい、精神障がいなど、判断能力が不十分な方々を保護するために法的に権限を与えられた後見人等が本人の意思を尊重し、生活状況や身体状況等も考慮しながら本人の生活を支援したり財産を守る制度です。

生活保護

生活保護は、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の理念に基づき制定された生活保護法により、国民の生存権を保障する国の制度です。人の一生においては、病気やケガ、その他色々な事情で生活が苦しくなり、どうにもならないときがあります。そのようなときに世帯の生活を維持し、自立できるようにお手伝いするのが生活保護制度です。


各種制度については、当院相談員にご相談ください

認知症デイケア

認知症デイケアとは

認知症デイケアとは、在宅で生活されている認知症高齢者の方を対象とした通所施設です。生活リズムの改善、家庭での介護負担の軽減、心身機能の維持向上を目的とし日常生活の意欲向上を目指しています。医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、ケアワーカーが連携し医療的な知識をもとに、お薬や環境の調整、プログラムなどを用い、その人らしさを尊重し認知症状の安定を目指します。

対象となる人は?

認知症による、精神・心理症状などへの治療が必要と医師が判断した方が対象になります。また、その他特段の理由がある方もご相談下さい。

どんなことをしているの?

作業療法士による集団で行うプログラム他、個人単位で行うプログラムも行っております。また、当院には音楽療法士も在籍しております。

プログラム

  • 集団レクリエーション(音楽療法、回想療法、頭の体操、身体機能リハビリ、ドライブ)
  • 個別プログラム(手芸、制作、お菓子作り、園芸、カラオケ、体操、塗り絵 等)

費用について

医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療保険)をお使い頂けます。また、自立支援医療の適応も受けられます。介護保険との併用も可能です。

よくある質問

Q.何回利用することができますか?

A.症状等を考慮し医師と相談の上利用回数を決定します


Q.昼食代はいくらですか?

A.食事も治療の一環のため、デイケア料に昼食代も含まれます


Q.入浴はありますか?

A.一般的な家庭のお風呂になります。1日に人数の制限があります。


Q.介護保険の点数が足りないので使えますか?

A.認知症状により医師が判断した場合は可能です

医療法人敬天会 星のクリニック
〒569-0023
大阪府高槻市松川町25-5
TEL:072-662-8121
FAX:072-662-8123

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